音は電車に揺られ

自分の人生のワンシーンでその音楽が鳴ってたという理由で

その音楽が自分の色にほんのり染まる感覚、

空気感が自分が見ていた景色と重なっていく感覚が好きです。

 

みたいなことを、

生まれ育った京都を離れて名古屋に向かう鈍行列車の中で

ぼんやりと思いました。

 

その時聴いていたのはWallowsの『Nothings Happens』。

単に楽しみにしていた新譜を聴いていただけなので

そこに特別な意味なんてなかったのですが、

これから新しい毎日が始まる、という春の日に

ぴったりな気がしました。

 

『なんにも起こらない』というタイトルと、

連続していく曲のつながり。

 

普段だったら曲のつながりが楽しくて最高くらいのことしか

思わなかっただろうけど、ぼんやり地元を離れて新しい土地に行く

電車に揺られながらそれを聴いていると、

これからの毎日そんな大事件なんて起こらないだろうし、

気を抜いたら知らない間に通り過ぎていってしまうくらい

平凡な日々なんだろうけど、その一つ一つを上手につかまえて

丁寧に暮らしていきたいなぁなんてことを思いました。

 

これからの自分の生活を、なんとなくこのアルバムの

タイトルと作られ方から思い描いて、勝手に特別な価値を

見出したりしていました。

 

多分この先も何回も聴くアルバムだと思うけど、

そのたびに今日の車窓から見た景色と、

京都でいろんな人と交わした会話を反芻しながら

ひとり思い出し笑いしてたことなんかを

思い出すんだろうなと思います。

 

人生の中でちょっとだけ特別な雰囲気だった日に聴いた

Wallowsの『Nothing Happens』、

単なる好きとはちょっとちがう特別なアルバムに

なるような気がしました。